内湾線の終点手前の山の中に、台湾唯一のスイッチバックの駅がありました。
現在、合興駅は25‰(パーミル)の急勾配にホームが作られています。
25‰とは1000mの距離を進むと25mの高さを登る勾配をいいます。鉄道車両の駆動力が低かった昔は、この急勾配上で一旦停止してしまうと、
登り勾配を発車することは非常に困難でした。その為、平坦な引込み線とホームを造り、そこへ列車を入れて駅での乗降などの取り扱いをし、
更に列車は坂を登って行ったのでした。
台湾でこの取扱いを唯一行っていたのが、この合興駅でした。現在は車両の性能が向上し、
急勾配上からの発車も難なく行うことが出来るようになった為、スイッチバックの施設は廃止されました。
数年前に訪れたときには、既に引込み線の線路は本線と繋がってはいませんでした。しかし、駅構内は現役当時のままの状態でした。 現在は公園化されて整備が進んでいます。線路を板で覆うのは良しとしても、線路内に木を植えるのはどうなのでしょうか。 木の成長につれて線路が歪んできますので、良いことだとは思えません。
本線との分岐部分には信号小屋が残り、信号梃子や腕木式信号機が往時の姿を今に伝えています。
日本でもスイッチバックの駅はたくさんありましたが、現在では車両性能の向上と共に殆どなくなりました。 線路が残っているところも日本では少ないので、立ち寄ってみるのも良いかも知れません。
内灣線 合興駅 新竹縣横山郷