台湾では歴史建築の修復工事が盛んに行われています。
日本時代の建築物は老朽化が進み、修復しなければならない時期に来ているから(修復している)といえばそれまでですが、 日本国内の歴史建築は台湾よりも簡単に壊されてしまうことが多く感じます。日本よりも歴史建築を大切にしているように感じられる台湾は、 歴史文化に理解のある国なのかも知れません。
いくつか修復工事を見て、素晴らしいと感じていることがあります。それは工事の“覆い”です。
新竹市政府の修復工事のようすです。
正面入口は青いシートで覆われて訪問者をがっかりさせますが、それ以外の両側のシートは建物の絵が描かれています。良く出来ていて、
離れた場所から見ますと気が付かないぐらいの出来映えです。
台中駅の修復工事中の写真です。
全体がシートと屋根に覆われて、実際には駅舎は見えていません。でも、見えているように感じてしまうのが不思議なところです。
描かれた覆いを始めてみたのが、台北の龍山寺の修復工事でした。線香の煙がたちこめていた所為もありましたが、目の前の本殿の屋根が、工事囲いの覆いに描かれたものであることに少しの間気が付きませんでした。とても驚いたのを覚えています。
このように描かれた工事の“覆い”、私は日本で見たことがありません。
都市景観という観点からも、このような配慮は素晴らしいことだと感じます。
古い建物が博物館や資料館として活用されることは、歴史を伝える上でとても素晴らしいことだと思います。中でも一番嬉しく思うのは、
建築当時の目的のまま現役で使われている古い建物に出会ったときです。長く使ってもらって建物も喜んでいるのではないかと思ってしまいます。
台湾の歴史建築が末永く愛されて、そして活用されることを願っています。